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留学体験談

Durham University

ダラム大学

ダラム大学の留学体験談:カレッジ制で広がるコミュニティの魅力

ダラム大学は、イギリスの美しい田舎町に位置し、カレッジ制という独特な制度を通じて学生同士の絆を深め、学びに集中できる環境を提供しています。世界遺産であるダラム大聖堂を背景に、学生たちは小さなコミュニティの中で充実した生活を送りながら、学業と課外活動のバランスを取っています。今回は、そんなダラム大学での生活の魅力やカレッジ制がもたらす恩恵について、経営学を専攻するKazさんに伺いました。

2024/10/16
2024/10/21
Kazuki

Kazukiさん

Durham University

専攻: 経営学(BA Business Management)

    ダラム大学入学前のKazさんの経歴について教えてください。

    僕は生まれは日本ですが、小学4年生のときに、父親の仕事の関係でシンガポールに移住しました。そこで現地のインターナショナルスクールに通い始めたのですが、当時は英語が全く話せなかったので、最初はかなり苦労しましたのを覚えています。それ以来は高校卒業までインターで過ごし、最後の2年間はIB(国際バカロレア)というカリキュラムを受講しました。ちいさい英語を学べる環境にいたことで、自然と海外の大学に進学したいという思いが強くなり、大学も海外で挑戦しようと決めました。


    Kazukiさんはなぜダラム大学を選ばれたのですか?

    まず、大学選びではアメリカかイギリスで迷いましたが、最終的にはイギリスに決めました。理由はいくつかあります。まず、治安がアメリカに比べてイギリスの方が全体的に良いこと。そして、イギリスの大学は3年制が一般的で、早く卒業できる点に大きな魅力を感じました。僕自身、早く社会に出てキャリアをスタートさせたいという思いがあったので、1年でも短くなるのは大きなメリットでした。また、イギリスの歴史や文化にも強い関心がありました。特に、イギリスという国は日本と同じように島国であり、かつては「日が沈まない国」と呼ばれるほど栄えた歴史を持っています。そんな国で学ぶことは、自分にとって大きな刺激になると感じていました。

    候補にはエディンバラ大学やバース大学もありましたが、最終的にダラム大学を選んだ理由は、いくつかの要素が重なりました。まず、僕が求めていたのは、落ち着いた環境で集中して勉強ができる地方の大学です。歴史的な街並みや文化を持つイギリスに親しみを感じていたこともあり、田舎でのんびりした生活を送りながら勉強に専念できるダラムは、理想的な環境だと思いました。

    さらに、ダラム大学の特徴として「カレッジ制」があります。これは、学生がカレッジという小さなコミュニティに所属しながら大学生活を送る制度です。1年目の学生は全員カレッジの寮に住むため、すぐに友人を作りやすい点が魅力的でした。新しい環境に入るときに、カレッジというサポートがあることで、大学生活のスタートがスムーズになると感じたのも、ダラム大学を選んだ理由の一つです。

    ダラム大に出願した上での、具体的なプロセスについて教えてください。

    イギリスの出願プロセスは全体的にシンプルで、僕の場合はIBの成績とPersonal Statement(志望理由書)をもとに、UCASというイギリスの大学への出願ポータルを使って出願しました。UCASでは国内の5校に併願できるシステムになっていて、僕は地方の落ち着いた環境で勉強したいと思っていたので、ダラムやバース、エジンバラなどの大学を選びました。

    Personal Statementでは、なぜビジネスに興味を持ったのか、そして大学でどのような内容を学びたいのかについて書きました。具体的には、自分の実体験や当時読んでいたビジネスに関する本から得たインスピレーションをもとに、将来の目標や大学での学びが自分のキャリアにどうつながるかを説明しました。

    2020年3月にダラム大学から無条件合格(Unconditional Offer)を受け取り、最終的にダラム大学への入学を決めました

    ダラム大学の校風について教えてください。

    ダラム大学は、穏やかな地方大学であることもあり、そういった環境を求めて入学する学生が多い印象です。カレッジやソサエティなど、大学内のコミュニティが充実しているので。アットホームな環境だと思います。

    周りの学生の特色については、カレッジごとに異なります。例えば、Hatfield CollegeはPosh(上流階級色の強い)な学生が多い、Collingwood Collegeはスポーティーでパーティー好きな学生が多い、など特色が異なるので、最初のカレッジ選びが肝心です。

    実際にダラムに行ってみて良かったと感じる点を教えてください。

    圧倒的に「カレッジ制」の部分ですね。ダラムでは、新しい学生にあって自己紹介する時にまず自分のカレッジ名を言うぐらい、カレッジが大学生活のアイデンティティを形成する上で重要なファクターです。1年生で大学に入る時、カレッジというコミュニティに既に属している状態からのスタートなので、スタートダッシュとして友達も作りやすいですし、他のカレッジの学生と交流するのも楽しいです。

    あと、まず街全体がとても落ち着いていて、学生にとって勉強に集中しやすい環境が整っていることもいい点です。世界遺産にも登録されているダラム大聖堂の麓に広がるダラム市街は、人口5万人ほどの小さな街で、のどかな雰囲気が漂っています。そのため、街を歩いていると、日常的に友人やクラスメイトにばったり出会うことが多く、コミュニティが小さい分、ネットワークを広げやすい点が魅力的でした。

    また、街は小さいながらも、レストランやパブなどが充実していて、外食や友人との交流の場にも困りません。特に学生向けの場所も多く、大学生活を送る上で飽きることがないと感じています。

    現地の写真:シンガポール人の友人たちとの一コマ

    逆に、悪かった点、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?

    悪かった点はほとんど思いつかないですが、強いていうのであれば、地方の小さな街ということもあり、大学外での新しい交流やキャリア関連の機会が少ない点ですかね。特にキャリア関連イベントや他の大学とのコネクションを得る機会はほとんどなく、ロンドンなど大都市の大学に比べるとその点では物足りない部分もあります。

    また、街がコンパクトなため、移動手段は基本的に徒歩が中心となります。特にダラム大学は丘の上に位置しているため、傾斜のある道が多く、日々の生活での移動である程度の距離を歩くことになります。僕自身も毎日4〜8kmほど歩いているのですが、個人的にはこれは健康的な生活習慣としてプラスに捉えていますが、人によっては少し不便に感じるかもしれません。

    授業の雰囲気はいかがですか?

    文系の授業だと、1日の授業数は多くて1~2限程度で、授業以外の時間に自主的に文献を読んだり、レポートを書いたりすることが多いです。授業の質については、教授によってばらつきがあ流印象です。特に、僕が専攻しているビジネスのコースだと、講義によっては内容があまり充実していないと感じることもあります。ただ、その分、授業外での自主学習が重要になるので、自分でリサーチを進めていく力が養われる面もあるかもしれません。

    キャンパスや大学の施設の雰囲気はいかがですか?

    ダラム大学の施設は、街中に点在しているため、いわゆる「キャンパス」という形でまとまっているわけではなく、町全体が大学の一部のような雰囲気です。街を歩いていると、突然学部の建物が現れることがあり、今でも「あ、ここにこの施設があったんだ!」と新しい発見があるくらいです。

    図書館は「Bill Bryson Library」、通称”Billy B”が有名で、街の中心から南に15分ほど歩いた場所にあります。この図書館は週7日、24時間オープンしているので、僕のように夜型の人間には非常にありがたい施設です。図書館の施設自体は非常に充実していますが、テスト期間になると多くの学生が利用するため、席を確保するのが難しくなることがあります。

    16個のカレッジの施設も、半径2キロほどの街中に散らばっています。新しいカレッジで言うと数年前に寮が新設されたものから、世界遺産のダラム城の中に住めるカレッジまで、町中に新旧問わず幅広いタイプのものがあります。

    ダラムの街のシンボル、大聖堂

    授業外での生活環境はいかがですか?

    1年目は、大学から割り当てられたカレッジの寮に住みました。基本的には、エンスイート(一人部屋で専用バスルーム付き)、シングルルーム(共用バスルーム)、シェアルームの3つのオプションから選べます。1年目はほぼ全員が寮に住むことが義務付けられており、このおかげで新入生同士の交流が自然と深まり、大学生活のソーシャルライフを築くうえでとても良いスタートを切ることができました。

    平日や休日問わず、大学のカレッジ、ソサエティ、学部などが頻繁にイベントを開催しているので、授業外ではそういったイベントに参加することが多いですね。

    ダラムは全体的に治安が良く、夜道を一人で歩くことも特に心配ないです。ただ、どんなに治安が良い場所でも基本的な泥棒対策は必要です。たとえば、私の家の近所では空き巣などもあったので、レストランで貴重品を置きっぱなしにしないなどの最低限注意は必要だと思います。この点は、ダラムに限らずイギリス全体に言えることかもしれません。

    Kazukiさんが大学で行っている課外活動はありますか?

    Durham University Anglo-Japanese Society(AJS)に所属していて、2023年からはそのPresident(会長)を務めていました。AJSは日本人の学生や、日本の文化に興味がある現地の学生たちが交流できるソサエティで、メンバーは大体130人くらいですね。毎週1〜2回くらい、ソーシャルイベントを企画していて、皆で集まって楽しんでいます。

    それから、僕は大学ゴルフチームにも入っていて、他の大学との交流戦なんかもあります。たとえば、Leeds大学やYork大学と対戦したり、遠征に行ったりして、チームのメンバーと一緒に楽しい時間を過ごしています。

    在学中に、印象に残ってるイベントがあれば教えてください。

    まず印象に残っているのは、新入生歓迎ウィーク、通称Fresher’s Weekです。Fresher’s Week自体はイギリスの多くの大学で行われますが、ダラム大学の場合は各カレッジが独自に新入生向けのイベントを企画する点が特徴です。各カレッジの新入生が数百人規模で集まり、1週間にわたって10回以上のイベントが開催されます。初めての大学生活で、さまざまな出会いを楽しみながら友人関係を築けるのはこの大学ならではの体験でした。

    さらに、入学式はイギリス有数の世界遺産であるダラム大聖堂のチャペルで行われ、その荘厳な雰囲気には圧倒されました。歴史ある場所で迎える大学生活のスタートはとても印象的でした。

    また、1年を通してカレッジやソサエティ(サークル)、スポーツチームなどが様々なイベントを主催します。特にフォーマルディナーやボール、ボートパーティーといったイギリスならではの伝統的なイベントは一通り経験でき、学生生活を豊かにしてくれました。

    入学前、準備しておいてよかったこと、または準備しておくべきだったことはありますか?

    1人で自立できる生活力は身につけて行った方がいいと思います。また、マインドセット的な部分にはなりますが、オープンマインドにあらゆる人種やバックグラウンドの人と交流しようという心構えで挑むと、実りのある留学生活になるかと思います。

    大学での日本人コミュニティについて教えてください。

    日本人の学生は、各学年に5〜10人くらいですかね。大学院生も含め、全体で40名ほどかなと思います。ただ、殆どがインター校出身や、海外育ちが長い日本人なので、日本から直接進学する学生は数名程度ですかね。

    交換留学生は毎年東大、京大、早慶などから30名ほどは来るので、日本人コミュニティはそこそこの規模感があります。

    最後に、これから留学を志す中高生の皆さんにメッセージ・アドバイスをお願いします!

    留学を通して一番感じたことは、コンフォートゾーンを抜け出すことが人生においてかけがえのない経験になるということです。慣れた環境にいると安心感はありますが、それだと成長の機会が限られてしまう。異なる国や文化、価値観をもったコミュニティに身を置くことでしか得られないものがたくさんあるんです。新しい挑戦や人との出会いを通して、自分のアイデンティティが少しずつ形成されていくし、周りに流されることなく、自分自身の道を歩む強さが身につくと感じます。

    僕自身も、イギリスに留学したことで、普段は接することができなかったような人たちと知り合い、コミュニティが大きく広がりました。異国の地で自分がどれだけやれるかを試す経験は、自分に自信を持たせてくれるし、その経験こそが成長の糧になります。留学に少しでも興味があるなら、ぜひチャレンジしてみてください。自分の可能性を広げる素晴らしい機会になると思います!