チューリッヒ工科大学での留学体験談 - Keisukeさんへのインタビュー
スイスのチューリッヒ工科大学(スイス連邦工科大学チューリッヒ校, ETH Zurich)は、QS世界ランキングで7位にランクインする超名門工科大学です。世界トップクラスの研究施設や理論的な教育プログラムで知られ、アインシュタインの母校としてもその名を馳せています。2022年、東京大学から1年間の交換留学プログラムでETH Zurichに留学したKeisukeさんに、進学を決めた理由、大学生活、そしてスイスでの暮らしについてお話を伺いました。
- 2024/12/3
- 2024/12/3
Keisukeさん
ETH Zurich
専攻: コンピューター・サイエンス(Computer Science)
- #交換留学生
- #理系
- #スイス
Keisukeさんはなぜスイス・チューリッヒ工科大学を留学先として選ばれたのですか?
交換留学先としてトロント大学と迷ったのですが、ヨーロッパの方が旅行しやすいと思いスイスに決めました。ETH Zurichは世界的にも評価が高く、工学やコンピュータサイエンス分野で特に有名です。そのため、学問的にも非常に魅力を感じました。
チューリッヒ工科大学の特色について教えてください。
ETHは工科大学として理論的な勉強に重点を置いており、基礎をしっかり築くプログラムが多いんです。特に数学的な理解を深める内容が特徴的だと思います。また、研究機関としても非常に充実していて、ラボの規模や施設は日本と比べても圧倒的に整っています。
キャンパスも魅力的で、チューリッヒの中心部にあるキャンパスはアクセスが良く、もう一つの山の上にあるキャンパスも30分以内で行けるので便利です。
ちなみに、ETHは、学位のコースはすべてドイツ語で行われるので、基本的には留学は修士からになります。僕も学位の交換留学生としてETHに行きましたが、実際にとっていた授業は修士の学生用の授業がメインでした。
実際にチューリッヒ工科大学に行ってみて良かったと感じる点を教えてください。
チューリッヒ市内はインフラが非常によく整っていて、生活がとても快適でした。交通機関も時間通りに動きますし、街全体が清潔で安全なので、勉強に集中しやすい環境だったと思います。
また、大学のスポーツセンターやジムなどの施設が新しくて充実していたのも印象的でした。さまざまなスポーツが楽しめる環境が整っていて、友人たちと気軽に運動できるのが良かったです。学業だけでなく、こうした施設のおかげでリフレッシュする時間を作ることができました。
逆に、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?
まず、学食が高い上に正直あまり美味しくなかったことが残念でした。スイス全体的に物価が高いため、街中のレストランも同じように高価で、食事にはかなりコストがかかりました。
チューリッヒ工科大学での授業や勉強量ついて教えてください。
ETH Zurichでの授業は、コースワークや講義が中心で、研究よりも“勉強”に重点を置いている印象です。特に理論的な内容や基礎にフォーカスしたプログラムが多く、数学的な理解を深めることに力を入れています。このスタイルは、人によっては非常に充実した学びになりますが、修士課程で研究に没頭したい人にとっては少し物足りないと感じるかもしれません。研究ではなく、学問の基礎をしっかり築きたい人には向いている環境だと思います。
勉強量に関しては、交換留学生としては1週間で30〜35時間ほど勉強していました。授業自体は週に10〜15時間ほどで、それ以外の時間は自習や課題に充てる形です。修士課程の学生になると、勉強時間は週35〜40時間ほどが一般的で、かなり集中して取り組む必要があります。このような環境の中で、自分のペースで深く学ぶ力が求められると感じました。
チューリッヒ工科大学の研究環境と学位の特徴について教えてください。
ETHでは、修士課程が日本で言う学部的な位置付けに近く、基礎的な学びや講義中心の内容が多いのが特徴です。一方で、博士課程以降になると、より研究に特化し、研究者としてのキャリアをスタートする環境が整っています。博士課程の学生は高い給料を受け取りながら研究に専念するため、その数も多く、ETHは研究機関として世界トップクラスの規模と実績を誇ります。
大学全体が潤沢な資金を有しており、研究支援や施設の充実度は世界でもトップクラスです。特にラボや研究設備の規模は圧倒的で、最先端の環境で学び、研究できる点がETHの大きな魅力です。こうしたリソースの豊かさが、世界中から優秀な研究者や学生を惹きつける理由になっています。
チューリッヒ工科大学で課外活動には取り組みましたか?
ETH Zurichでの課外活動で特に思い出深いのは、ESN(Erasmus Student Network)への参加です。ESNはヨーロッパ中の大学のコミュニティで、毎週ハイキングやソーシャルイベントなど、さまざまなイベントを定期的に開催しています。この活動を通じて、ローカルのスイス人学生だけでなく、世界中から集まる留学生とも交流することができ、友人の輪を大きく広げられました。異文化を体感しながら、学業以外の部分でも充実した時間を過ごせたのはとても良い経験でした。
また、ETHのスポーツセンターが主催するスポーツ大会にも積極的に参加しました。友人たちとサッカーチームを結成し、大会に出場したのも楽しい思い出です。こうしたアクティビティを通じて、健康的なリフレッシュをしながら友人との絆を深めることができ、勉強とのバランスを取るのにも役立ちました。
チューリッヒ工科大学での生活環境はいかがですか?
ETH Zurichに通っている間は、市内キャンパスから徒歩3分ほどのアクセスの良い大学寮に住んでいました。この寮は交換留学生が多く住んでいる場所で、さまざまな大学から来た学生と交流することができました。夜にはみんなで集まって飲んだり話したりすることも多く、寮生活自体が楽しい経験でした。
チューリッヒの街は、日本でいうと広島や仙台のような規模感で、徒歩で中心部を回れるほどのコンパクトさがあります。それでも繁華街が広がっていて、探索すると新しい発見がたくさんありました。ナイトライフも充実していて、学業外の時間も楽しむことができました。治安については、東京とほぼ変わらないくらい安全ですが、スリなどの軽犯罪は東京より少し多い印象です。その点だけ用心していれば、特に問題なく快適に過ごせる街だと思います。
チューリッヒ工科大学で特に印象に残ってるイベントはありますか?
ETH Zurichでの生活で特に印象に残っているのは、ESN(Erasmus Network)が主催するイベントです。このネットワークはヨーロッパ中の大学のコミュニティで、毎週ハイキングやソーシャルイベントなどを開催していました。こうしたイベントのおかげで、さまざまな国籍の学生と気軽に交流でき、多文化的な経験を積むことができました。
また、チューリッヒは大きなテック企業のオフィスが集まる街でもあり、最前線で活躍するプロフェッショナルの話を直接聞く機会が多かったです。例えば、ソニーのCTOがゲストスピーカーとして登壇した講演会は非常に印象的でした。
チューリッヒ工科大学入学前、準備しておいてよかったこと、または準備しておくべきだったことはありますか?
チューリッヒ工科大学での日本人コミュニティについて教えてください。
ETH Zurichでは、学部の授業はドイツ語で行われるため、日本人の学部生はほとんどいません。そのため、日本人のコミュニティは主に交換留学生や修士課程の学生を中心に形成されています。交換留学生は毎年15人ほど在籍しています。また、修士課程には1学年あたり2〜3人程度の日本人学生がいるイメージです。全体で見ると、30人ほどの日本人学生が在籍している印象です。
最後に、これから留学を志す中高生の方々にメッセージ・アドバイスをお願いします!
交換留学生として留学を考えている方は、勉強だけでなく、将来の選択肢を広げる絶好の機会として留学を活用してほしいです。さまざまな情報や人々との出会いを通じて、新しい視点を得られることは大きな財産になります。ぜひ、いろいろなことにチャレンジしてみてください!
修士課程を目指す方には、海外の大学院進学をおすすめします。ヨーロッパや他の海外で働きたいと考えているなら、修士課程はその第一歩として非常に良い選択です。言語以外の壁はそれほど高くないので、積極的に海外の修士課程への進学を検討してみてください。海外で学ぶ経験は、学問的な成長だけでなく、キャリアや人生の幅を広げる大きな一歩になるはずです!