英・キングス・カレッジ・ロンドンの留学体験談:国際関係学を学ぶ
日本の高校から直接イギリスの名門校キングス・カレッジ・ロンドンに進学したRyotaさん。そんな彼の留学中の体験談をインタビューしてみました。
- 2024/11/2
- 2024/11/4
Ryotaさん
King's College London
専攻: 国際政治経済
- #正規留学生
- #2021年入学
- #イギリス
KCL入学前のRyotaさんの経歴について教えてください。
小学校から高校までは日本の公立の学校に通っていました。高校二年生の時に自分と同じようなバックグラウンドを持ちながら海外の大学に正規で入学された方とお話しする機会があり、そのお話を聞き刺激を受けたと共に自分でも挑戦できることを知り、高校二年生の夏から英語の勉強を始めました。そののち、IELTSの受験やエッセイなどを行い、高校三年生の夏に出願し、冬にファウンデーションコースからのオファーを頂きました。その後はアルバイトをしながらオンライン+現地での9か月間ファウンデーションコースを受け、翌年に学部の一年生として入学しました。
RyotaさんはなぜKCLを選ばれたのですか?
世界中から様々な人が集まっており、卒業後も世界中と繋がりを持つためのネットワーキングや、インターンの機会がたくさんあるであろうロンドンにあるということと、国際政治において世界大学ランキングなど含めた学術的な面からでの評価の高さからレベルの高い環境に自分を置き刺激を受け続けることができると思い、入学をきめました。
KCLに出願した上での、具体的なプロセスについて教えてください。
自分は日本の高校を卒業しており、イギリスの大学の受験資格がなかったためまずは9か月間のファウンデーションコースを受講しその後UCASを通して学部への応募をする必要がありました。ファウンデーションコースはKCLの付属のKCL International Foundation Courseを日本からオンラインで受験し、その後そちらのエッセイやテストにて基準となる成績を修め、学部に進学しました。
ファウンデーションへの出願の際には、県の教育員会主催の奨学金プログラム生の代表としてハーバード大学やMITにて研修を受けた経験を学校推薦文で書いてもらったほか、当時行っていた発展途上国への物資支援のボランティア社会学者の言説を絡めながら社会格差について触れた自己推薦文を提出しました。
学部への進学は付属のファンデーションからの進学であれば成績さえとっていれば問題ないとのことを聞いていたので、当たり障りのない内容で言い換えた内容の自己推薦文を提出しました。
KCLの校風について教えてください。
勉強ができる環境はもちろんありますが、遊びや飲み会を通したネットワーキングなども多く行えるような環境です。勉強にフォーカスする人もいればインターン、留学、サークル活動など学外の取り組みに力を入れる人も多かった印象です。良い意味でメリハリがある学生は多かったと思います。
日本から交換留学をしてきた学生によると日本の慶應大学と同じような雰囲気だそうです。
実際にKCLに行ってみて良かったと感じる点を教えてください。
貿易会社でのインターンや、現地政治家と話す機会などロンドンならではの機会というものがたくさんあったのが1つです。就活などもしやすかったので情報が圧倒的に入ってきやすいというのはKCLの良かった点の一つでした。
ただ、一番は人でKCLで一番良かったことは素晴らしい人たちに出会えたことであると思っています。自分とは全く違った興味、関心、バックグラウンドを持ったクラスメイトから思いもよらなかったようなアイディアや意見を聞ける事は刺激になりました。加えて、大学生という期間だけでなく、今後の人生においても関わり続けるであろうという生涯の友人たちはKCLに行ってなければできていなかったと思います。
逆に、悪かった点、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?
学費が高かったです。当初も年間300万円ほどだったのですが、最終学年では円安と授業料の値上がりによって年間420万ほどになっていました。私は、日本からの貸与型の奨学金を利用していたのですが、円安の影響をモロに受けました笑。KCLのほうでも貸与でもいいので奨学金があればなぁと思いました。
授業の雰囲気はいかがですか?
授業は各科目に対してレクチャーとセミナーと言ったものに分かれており、レクチャーでは講堂のような場所で教授が授業をとっている生徒全員に対して講義式の授業を行い割と受動的に知識や理論を学習します。一方セミナーでは生徒が中心となって前述のレクチャーの内容を踏まえてそれについてディスカッション形式でさらに深掘りして議論するといった授業になります。4つの科目に対して各それぞれレクチャー(1コマ1時間~1.5時間)とセミナー(1コマ1時間)があり、合計での授業の時間は週に合計で8〜10時間と言ったところになります。授業時間が短い代わりに、授業以外の時間に自主的に学習やリサーチを進めることが非常に多い形の授業スタイルになります。
キャンパスや大学の施設の雰囲気はいかがですか?
キャンパスや施設には、伝統的な建築と現代的な設備が融合した独特の雰囲気があります。KCLにはロンドン市内に複数のキャンパスがありますが、国際関係学部の入るストランドキャンパスは、ロンドンの中心部に位置し、学校の上の階からはウェストミニスターや、トラファルガースクエア、ロンドンアイなど有名な建造物が見渡せます。
図書館や学習スペースも充実しており、広々とした自習室や共同で学べるグループワークスペースが多く設けられています。特にストランドキャンパスに近いMaughan Libraryは、古い修道院を改装した荘厳な建物で、映画の撮影にも使われるほどの美しさがありながら、最新の学術資料やデジタルリソースも完備しています。
KCLのキャンパスや施設は、ロンドンの都市生活の中にありながら、学問と研究に集中できる静かで落ち着いた場所があり、国際的かつ活気ある雰囲気が特徴です。
授業外での生活環境はいかがですか?
1年目はロンドン郊外のStratfordという寮、2年目はその寮で仲良くなった友人と合計4人でロンドンのCanada Waterという住宅街にてシェアハウス、3年目以降はインターン先で仲良くなった方のロンドン郊外の家に居候の方をさせていただいていました。
治安に関して言うとロンドンも郊外の家賃の安いエリアは治安が悪く、高いところがよい傾向はありますが、中心地や繁華街などは家賃が高くとも治安が悪いことがあるので注意してください。具体的な犯罪でいうと夜に携帯を盗まれたりなどは経験している人が多い印象でした。
Ryotaさんが大学で行っている課外活動はありますか?
インターン...一年生の冬から三年生の夏までロンドンにある日系の商社にて有給のインターンをおこなっていました。
サークル運営...三年生の夏から卒業までの一年間、Japan Society というサークルにて、日本の企業で働きたいイギリスの大学に通う学生に向けて就職活動のお手伝い、海外大生を採用したい企業様や団体の採用のお手伝いをしていました。
会社運営..大学三年の秋に大学で出会った友人と貿易会社をマレーシアに設立し、運営しています。
在学中に、印象に残ってるイベントがあれば教えてください。
イングランド銀行のトップによる仮想通貨についての講演会
この講演会では、イングランド銀行の総裁が仮想通貨の将来やその影響についての見解を述べました。特に、仮想通貨が従来の金融システムにどのように影響を与えるか、そして中央銀行がどのように対応するべきかという点に焦点が当てられていました。
元外交官、CIAやMI6の諜報員による講演会
私の学部ではIntelligenceという、いわゆる諜報の授業をとることができたのですが、授業に元外交官の方やCIAやMI6の分析官、元エージェントなどが実際に大学に来てゲストスピーカーとして授業を行ったりしていました。より詳しく話を聞きたい学生向けに授業後に自由参加型の講演会などもあったのですが、たくさんの学生が興味を持ち参加していたとのことです。授業では、国際情勢、諜報についての理論などを実体験をもとに説明してくれていたのですが、講演会では元外交官や元CIAやMI6の人間が自身のキャリアについて話すことが多く、諜報活動の現場で直面した緊張感あふれる状況や、情報戦の実態に関する具体的なエピソードが非常に印象的で面白かったです。
ウェストミニスターでのコーヒーセッション
このイベントは、イギリスの知日派国会議員と共に、日英関係について議論するコーヒーセッションで、ロンドン大学の日本サークルが主催しました。ウェストミニスターという歴史ある場所で、議員が日英関係の強化や将来の協力について意見を聞いたりしており、学生たちが直接政策に関わる議員と交流するといった大変貴重な機会で大変印象深かったです。
上記のように大学の権威性と、ロケーションによって様々な企画があり、政治や国際関係学を学びたい学生にとっては理想的な学び場だと思います。
入学前、準備しておいてよかったこと、または準備しておくべきだったことはありますか?
学部が政治系であったことも理由かと思いますが、日本についての質問をよくされました。日本の歴史についての勉強をあらかじめしておくと良いかもしれませんあとは日本のアニメや漫画についてもよく聞かれたり話されたりしました。実際にロンドンに行くまで詳しくなかったのですが、有名なものは実際に読んだりあらすじを拾ったりして話せるようにしておきました。コミュニケーションツールとして知っていると便利です。
あとは料理スキルを身に着けておくといいと思います。寮で友達を作ることにも困らない上に大きな節約になります。ロンドンは物価が高かったのですが、スーパーなどで販売されている食料品などは税金がかからないこともあり日本より安く、自炊などをすると生活費はかなり抑えられたと思います。
大学での日本人コミュニティについて教えてください。
日本人の学生はイギリスの大学の中でも多い方であるという風に思います。各学年に20人くらいは毎年いるイメージですね。内訳としてはイギリス現地育ちの日本人、インターナショナルスクールや海外の学校に通っていたIB取得者、僕のように日本の高校出身の子などがいて、毎年年によってこの割合は違うと思います。僕の代は2:6:2といった具合でした。
日本からの交換留学生も一定数おり、ジャパンソサエティーという日本文化交流サークルにいけば日本人とは繋がれると思います。
最後に、これから留学を志す中高生の皆さんにメッセージ・アドバイスをお願いします!
僕は大学時代の専攻とは全く関係ない分野に進みましたが、大学の授業、大学外での経験を基にで得たものが活きていることもあるので全く後悔はないです!留学という選択や大学の専攻や勉強内容などが将来に直接つながるか不安に思っている方も多いとは思いますが、大丈夫です!辛いことから逃げないでしっかりとやるべきことをやっておけば、何とかなります。