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留学体験談

Nanyang Technological University

南洋理工大学

シンガポール・南洋理工大学(NTU)の留学体験談:成長し続ける環境で切り拓いたアカデミックな世界

南洋理工大学(Nanyang Technological University, NTU)は、エンジニアリングで世界トップクラスの評価を受ける研究型大学です。今回のインタビューでは、マテリアルズインフォマティクスを専攻しているShuyaさんに、NTUでの学びや、進学の決め手、そして大学生活について伺いました。彼の視点を通して、NTUでのダイナミックな経験をお伝えします

2024/10/21
2024/11/4
Shuya

Shuyaさん

Nanyang Technological University

専攻: マテリアルズインフォマティクス(School of Materials Science & Engineering)

  • #正規留学生
  • #2021年入学
  • #理系
  • #シンガポール

NTU入学前のShuyaさんの経歴について教えてください。

幼少期からアスリートとして水泳と空手に本格的に打ち込んでいました。水泳ではジュニアオリンピックに出場し、空手では全日本チャンピオンになりました。中学高校は、地元の中高一貫校に進学し、文武両道に励みました。初めての海外経験は、学校の提携校であるイギリスのイートン校への短期留学で、そこで出会ったケンブリッジ大学の先生に海外大への進学を勧められたことから、海外での学びに興味を持ち始めました。その後、もっと海外での経験を積みたいと思い、AIG高校生外交官プログラムやStanford e-Japanを通じて、1ヶ月ほどアメリカに渡米したり、現地の教育に触れたりする機会がありました。アメリカで出会ったトップ層の学生たちと交流する中で、国際的な環境で学び、将来的には彼らと同じ土俵で戦いたいという強い思いと危機感が芽生え、海外大への進学を本格的に検討し始めました。

Shuyaさんはなぜシンガポール・NTUを進学先として選ばれたのですか?

高校時代から数学や物理に強い関心があり、当初は理論物理学を専攻しようと考えていました。ただ、理論だけでなく、それを実際に社会の問題解決にどう応用できるかにも関心がありました。また、異なる学問が交わるところに新しいアイデアやイノベーションが生まれるとも感じており、そんな中で出会ったのがマテリアルズサイエンスという分野です。物理、化学、生物学、計算科学などが組み合わさった理系の総合格闘技のような分野で、理論と応用のバランスも良く、自分に理念によく合った学域だと感じました。また、マテリアルは時代を定義してきた全てのイノベーションの根源であり、あらゆる人類課題に取り組む上でこの土台をしっかりと抑えることが今後ますます重要になるだろうと心得ていました。

そんな中で、マテリアルズサイエンスの分野で世界トップであり、毎年変革を遂げるNTUへの進学を志しました。学部の早い段階から参加できる研究プログラムや学際的なカリキュラムに惹かれたのはもちろんのこと、研究のスピンオフや産学連携に力を入れているところにも魅力を感じました。また、自分の性格的に、安定した環境よりも、常に変化し成長し続けるダイナミックな環境でその変化を自分の肌で直接感じたいと思っていました。NTUはまさにそうした刺激的な環境が整った大学でした。

トロント大学や香港大学、ケンブリッジ大学のデュアルディグリープログラムなどからも合格を頂いていましたが、自分が一番興味を持っていた分野で世界トップクラスであり、その他の要素も鑑みてNTUが最適な環境だと判断し進学を決意しました。また、その当時、米英大に進学する人は少しずつ増えてきた頃でしたが、シンガポールのトップ大に進学した人は聞いたことがありませんでした。既に開拓された道よりも、誰も身寄りがない環境で、自らが先駆者として新たな道を切り拓いていくことに意義を見出したのも一つの大きな要因です。

NTUに出願する上での、具体的なプロセスについて教えてください。

僕は日本の高校卒業資格ベースでNTUに出願しました。中高の成績、TOEFL、SAT、その他受賞歴などを提出し、NTU独自の入試(英語・物理・数学)を高校卒業後の4月にオンラインで受けました。当時はコロナの影響もあり、オンラインでの試験でした。最終的には6月から7月にかけて合格通知を受け、8月に入学しました。ちなみに、今は出願基準が変わり、NTU独自の入試は必須では無くなりました(2024年度現在)。詳しい出願プロセスはNTUのウェブサイトをチェックしてみてください。

NTUの校風について教えてください:

全体的に真面目に学業に取り組む学生が多い印象ですが、それだけでなく、多くの学生が学部1年次からインターンやクラブ活動に積極的に取り組んでいます。特にエンジニアリング系では、火星探査のコンペティションやHPCなどのハッカソンに参加する学生なども多く、その活動を支援する環境も整っています。学部3年次には工学部全学共通で、1セメスターのインターンをすることが卒業条件になっています。また、NTUはスタートアップやアントレプレナーシップにも力を入れており、ディープテックや起業に関心を持つ学生にも巡り合うことができます。

実際にNTUに行ってみて良かったと感じる点を教えてください。

入学当初の一番の目的であった、早い段階から研究の経験を積めたことが一番の収穫です。大学2年次から大学の研究プログラムを通して現在のラボに所属し、それから計2年半ほどAIを用いた材料探索の自動化に関する研究に取り組んでいます。この間で、NTUだけでなく政府管轄の研究機関や国の卓越研究機関でノーベル物理学賞受賞者の先生のもとで研究する機会などもあり、他の環境では得られなかったであろう研究者としての成長を実感しています。学部の間に共著二本をトップジャーナルとトップ会議に通し、主著一本(査読中)を完成させられたのもこの充実した環境と周りのサポートがあってこそだったと思います。また、大学内にはスタートアップや技術移転に特化した機関があり、その研究者やプロフェッショナルたちと交流できたのも貴重な経験でした。NTUにはディープテックのエコシステムが存在していて、そこに直接触れられるイベントやカリキュラムが整っているのも大きな魅力です。

逆に、悪かった点、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?

NTUのカリキュラムは、アメリカの大学等と比べると必修科目が固まっているため、柔軟性が少し低いと感じるかもしれません。ダブルメジャーやマイナーを通して自分なりに学際性を持たせることはできますが、リベラルアーツほどの柔軟性はないので、人によっては向き不向きがあると思います。一方で、既にある程度自分の興味が定まっている人にとってはより専門性を深められるカリキュラムだと思います。

NTUの授業のスタイルについて教えてください

エンジニアリング系の授業は、基本的にレクチャー(2時間)とチュートリアル(1時間)がセットになっています。講堂での大規模なレクチャーで理論を学び、10名ほどでの少人数のチュートリアルでレクチャーの深掘りや演習問題を行います。また、実験系のラボの授業も不定期にあります。

キャンパスや大学の施設の雰囲気はいかがですか?

NTUのキャンパスはとてもユニークで、「The Hive」など奇抜なデザインの建築物が多いです。

2035年までにCO2排出量ネットゼロのスマートキャンパスを目指しており、校内は緑が豊富でサステイナブルな環境です。ラボやイノベーション施設も充実しており、ロボットやプロトタイプの開発ができるスペースもあります。また、スポーツ施設も豊富で、学生生活を楽しむには十分な環境が整っています。

NTUの総合教育ハブ"The Hive"(本人提供)

大学外での生活環境はいかがですか?

NTUでは1〜2年生は寮生活が確約されていますが、僕は古い寮に割り当てられて、クーラーがなくて大変でした(笑)。立地的には街の中心から離れているので、学内で生活がほとんど完結します。食堂やスーパー、レストランも揃っていて、外に出なくても快適に生活できる点が便利です。NTUのキャンパス自体が一つの街のような感じです。

在学中に印象に残ってるイベントはありますか?

大学2年の時、NTUが開校35周年記念を迎えました。その際、世界中からトップの研究者を招聘するコロキウムが毎週のように開催され、ノーベル賞受賞者を含む多くの研究者の方々のお話を伺うことができました。また今年は、所属先の研究室がAI4Scienceのカンファレンスを主催し、米英大やGoogle、Microsoft、Meta、NVIDIAなどのトップ研究者がシンガポールに一同に会しました。論文越しでしか見たことがなかった錚々たるメンバーと直接触れ合うことができたのは非常に刺激的でした。

大学での日本人コミュニティについて教えてください。

現時点でのNTUの日本人正規生は15人ほどです。僕のように日本の一条高から直接進学した学生は4名ほどで、ほとんどが海外バックグラウンドやIB出身の学生です。交換留学生は毎年20〜30人ほど来ていますが、他の国と比べても全体的に日本人は少ないです。日本の高校生にとって、NTUが進学先としてもっと身近な選択肢になることを願っています。

最後に、これから留学を志す中高生の方々にメッセージ・アドバイスをお願いします!

僕自身、誰も海外大進学する人がいない片田舎から全く身寄りのない国に進学し、今日まで様々な経験と成長をしてきました。まずは、日本の外にどういう世界があるのかを知り、その中で自分の思いやキャリアを実現するためのベストな選択をして欲しいです。その選択肢の一つとして、海外大進学が当たり前になる日がくれば嬉しいです。自分の可能性を決めつけずに、まずは挑戦してみてください。応援しています!(X: @shuya_yamazaki

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