オランダ・デルフト工科大学の留学体験談:理論と創造性が織りなす建築学の挑戦
オランダにあるデルフト工科大学は、ヨーロッパ屈指の工科大学として知られ、特に建築学では世界的に評価されています。今回は、「建築学(BSc Architecture)」を専攻するSohさんにインタビュー。彼の経歴、大学生活、デルフト工科大学ならではの魅力や課題について伺いました。
- 2024/12/3
- 2024/12/3
Sohさん
Delft University of Technology
専攻: 建築(BSc Architecture)
- #正規留学生
- #2024年入学
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- #オランダ
デルフト工科大学入学前のSohさんの経歴について教えてください。
幼少期は中国のインターナショナルスクールで学び、日本語より英語の方が得意な環境で育ちました。その後、中学で日本に帰国し、中高一貫の私立校に進学。高校卒業後、オランダに留学することを決意しました。僕はたまたま幼少期からオランダに友人が多く、自然とオランダを留学先として意識するようになりました。
Sohさんはなぜオランダ・デルフト工科大学を進学先として選ばれたのですか?
オランダは以前から憧れの場所でした。大学選びの際には、オランダの大学が自然と第一志望になり、その中でもデルフト工科大学を選びました。理由は、世界ランキングで上位に位置していることや、卒業生や教授陣に魅力的な人物が多いと聞いたからです。また、街の美しさや落ち着いた環境も進学を決める大きな要素でした。
デルフト工科大学に出願する上での、具体的なプロセスについて教えてください。
僕の高校の成績は出願書類として認められなかったため、AP試験を受験しました。APのスコアとモチベーションレターを提出し、書類審査が通った後、入学テスト(Numerus Fixus)を受けました。このテストでは、建築に関連する課題が出され、自分で図形を作り、その空間や構成について説明する内容でした。さらに、1年間のファウンデーションコースでオランダ語を習得し、その後に学部に進学しました。
デルフト工科大学の校風について教えてください。
デルフト工科大学は、学生に自主性を求める校風です。課題は一方的に与えられますが、そこに正解はなく、自分のユニークなアイデアや思考で解決策を見つけることが求められます。また、学生のスタートアップを積極的に支援する環境が整っており、チャレンジ精神旺盛な学生が多い印象です。
実際にデルフト工科大学に行ってみて良かったと感じる点を教えてください。
一番感じたのは、デルフトの街の魅力です。街全体がコンパクトで、歴史的な雰囲気があり、運河が流れているんです。散歩しているだけで気分が良くて、街中を歩いていると友人と偶然会うことも多く、すごく心地よいです。精神的にリラックスできる環境が整っているので、勉強にも集中しやすいですね。
授業についても、想像力を鍛えるようなスタイルが特徴的です。与えられる課題は単なる数字の問題ではなく、図式や説明を通じて自分の考えを深く掘り下げるものが多いです。クリエイティブに考えながら課題に取り組むのが楽しいですね。
それと、オランダ人は基本的にソーシャブルで、人と話すのが好きな人が多いんです。自転車に乗りながら会話していたり、歩きスマホなんてほとんど見かけません。そういう文化に触れるのも新鮮で、面白いです。
逆に、悪かった点、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?
やはり一番大変なのは言語の壁ですね。僕が専攻しているコースはオランダ語で授業が行われるので、授業内容を理解するのにも、友人とスムーズに交流するのにもかなり努力が必要です。英語だけで受けられるコースもあるんですが、自分の専攻だとどうしてもオランダ語が避けられないので、入学前にもっと準備しておけば良かったと思うこともあります。
それから、ハウジング問題も大きな課題です。オランダ全体で学生用の住居不足が深刻化している中で、デルフトも例外ではありません。寮やアパートを探すのが本当に大変で、特に入学直後は苦労しました。早めの準備が必須ですね。
最後に、天気の悪さも正直きついです。夏以外は雨や強風が多く、特に冬は寒さが厳しいので、外に出るのが億劫になることも。ただ、これもオランダらしいと言えばそうなので、慣れればそこまで気にならなくなるのかもしれません(笑)。
デルフト工科大学の授業のスタイルについて教えてください
授業は非常にTheoretical(理論的)な内容が多いですね。工科大学というと、実用的な内容が中心のイメージがあるかもしれませんが、デルフトでは学問的な観点からのアプローチが重視されています。
たとえば、今必修で受けているMechanicsの授業では、単純に数値を計算するだけではなく、図解や説明の記述が求められる課題が多いです。具体的には、与えられた問題に対して自分なりの解釈をもとに図式化し、それをどう使って解決に結びつけるかを説明するような形式です。このプロセスを通じて、単に計算をこなすスキルだけでなく、想像力や創造的な思考が養われます。
答えが一つに決まらない問題も多く、自分の考え方やアプローチを深掘りする必要があります。このようなスタイルは、自主的な学びを促進するだけでなく、学生一人ひとりのユニークな視点を伸ばしてくれると感じています。
デルフト工科大学のキャンパスや施設の雰囲気はいかがですか?
キャンパスの施設は工業的なデザインで、研究施設のような雰囲気があります。各施設は充実しており、課題や作業を行うスペースが整っています。街とキャンパスの境界が曖昧で、街の一部として自然に溶け込んでいる点も魅力です。
デルフト工科大学での生活環境はいかがですか?
デルフトの街は非常に安全で、夜に一人で歩いていても不安を感じることはありません。休日は料理を楽しんだり、部屋でゆっくり過ごすことが多いです。ただし、冬は天候が悪く、突然の雨や強風が頻繁にあり、過ごしにくいと感じることがあります。
デルフト工科大学で課外活動はしてますか?
現在は特に課外活動には参加していませんが、課題や授業が充実しているため、大学での学びだけでも十分に忙しいです。ただ、大学内にはスタートアップ支援施設があり、起業を目指す学生にとっては素晴らしい環境だと思います。
デルフト工科大学入学前、準備しておいてよかったこと、または準備しておくべきだったことはありますか?
オランダ語に少しでも慣れておくことをおすすめします。また、学生寮の抽選には登録順が関係するため、留学を決めた時点で早めにアカウントを作成しておくのが重要です。さらに、留学先での生活に備えて、ユニクロのヒートテックや料理道具などを持参しておくと快適に過ごせます。
デルフト工科大学での日本人コミュニティについて教えてください。
日本人の正規生は1学年に5人程度で、交換留学生を含めても少数です。そのため、日本人同士で固まるというより、他国の学生と交流する機会が多いです。
最後に、これから留学を志す中高生の方々にメッセージ・アドバイスをお願いします!
デルフト工科大学では、自主性を持って学びに取り組むことが重要です。留学前に完璧な準備をする必要はありませんが、心構えとして、自分で計画を立てコツコツと努力する姿勢を身につけておくことをおすすめします。また、オランダの学生寮は競争が激しいため、早めに行動を起こすことが大切です。挑戦を恐れず、新しい環境に飛び込んでみてください!