イェール大学の留学体験談:深い人間関係と豊かな学生生活の魅力
アメリカ・イェール大学は、その長い歴史と名門校としての地位で広く知られています。しかし、キャンパスでの日常や学生コミュニティの魅力についてはあまり知られていないかもしれません。今回は、2023年にイェール大学に入学し、人類学とデータサイエンスを学んでいるMさんに、留学生活のリアルな体験を伺いました。
- 2024/11/15
- 2024/11/15
Mさん
Yale University
専攻: 人類学 (Anthropology)
- #正規留学生
- #2023年入学
- #文系
- #アメリカ
イェール大学入学前のMさんの経歴について教えてください。
私は、両親の転勤の都合で幼少期のほとんどを海外で過ごしました。中学入学のタイミングで日本に戻り、私立の中高一貫校に入学、日本語ベースで教育を受けました。進路を考え始めた当初は海外大学を特に考えていなかったのですが、高校1年生の時に学校での説明会をきっかけに、アメリカの大学にも興味を持ちました。日米の大学の併願も考えましたが、高3の春にはアメリカだけに出願を絞る決心をしました。その後、イェール大学に合格し、進学しました。
Mさんはなぜアメリカ・イェール大学を進学先として選ばれたのですか?
もともと映像制作に興味がありました。アートと学問を両立できる環境を探していて、アメリカの大学、特にイェールはその点で理想的でした。芸術文化が盛んな大学である上に、文系の強さもイェールを選んだ決め手でした。
他にはポモナ大学などのリベラルアーツカレッジも迷ったのですが、リベカレは小規模な大学故、自分の性格的に息苦しく感じるかなと思いました。また、イェールは大学院があるのでリソースが豊富で、より広い環境で学べると思いました。
イェール大学に出願する上での、具体的なプロセスについて教えてください。
私は日本から直接出願しました。SATとTOEFLは高2の時点で終わらせていて、海外経験があり英語環境に恵まれていたため、英語の壁は特に感じませんでした。高3の夏休みからエッセイを書き始めましたが、文章を書くのは好きだったので苦ではありませんでした。Common Appを通じて出願し、イェール用の追加エッセイも含めると6〜7本くらい書きました。期限ギリギリまで書き直しを続け、最終的に10月に出願したのを覚えています。書類審査後、11月末には卒業生とのインタビューがあり、日本のスタバでリラックスした雰囲気の中行われました。そして12月15日に合格通知を受け取りました。
イェール大学の校風について教えてください。
イェール大学の学生は、みんな人に興味を持っていて、人間関係の密度がとても濃いです。コミュニティがしっかりしていて、平日は勉強や部活に忙しい学生が多いですが、みんなお互いに関わりたいという欲が強いですね。
また、芸術文化が特に印象的で、毎週のように劇や音楽会などのパフォーマンスが開催されています。学生生活がとても豊かだと思います。
実際にイェール大学に行ってみて良かったと感じる点を教えてください。
私がイェールに入学して一番気に入ったのは、カレッジ制の仕組みです。イェール大学では、入学すると14あるカレッジのうち一つに配属されるのですが、それぞれのカレッジに寮や図書館、学生コミュニティがあって、そこでの人間関係がとても充実しています。特に寮のリビングルームで友達と課題をしたり、雑談をしたりする時間は、特別なものです。
この環境のおかげで、興味や関心が似ている友人が多くでき、たくさんの刺激を受けています。例えば、本や数字についての話が好きな友人がいたり、自分の知らないことを教えてくれる人に出会えたりするのも魅力です。寮もスイートのような作りで、自然とコミュニケーションが生まれる文化があるんですよ。
逆に、悪かった点、もっとこうだったらよかったと思う点はありますか?
イェールに通っていて感じたのは、コミュニティがとても強い反面、クローズドコミュニティになりがちなところです。キャンパス内で生活がほとんど完結してしまうので、外との接点が少なくなることもあります。イェールというブランドが持つ独特の空気感の中で、周りが同じような学生ばかりに囲まれてしまうと、つい『これが普通なんだ』と思ってしまいがちです。それが悪いわけではないのですが、時々普通の感覚が麻痺してしまうような瞬間がありますね。
この閉じた環境では、勉強に対するプレッシャーもとても大きいです。みんなが『頑張らなければいけない』という文化が強く、それで体調を崩してしまう学生もいるほどです。そういった点が少し大変だと感じました。
キャンパスや大学の施設の雰囲気はいかがですか?
イェール大学の施設はとても充実しています。外観は歴史を感じさせる古い建物が多いですが、内装はしっかり改装されていて、とても綺麗です。敷地は大学の規模感に対してやや広めですが、キャンパス全体がコンパクトにまとまっているため、授業間の移動も最大で10〜15分程度と便利です。キャンパス内にはラボや講義室だけでなく、ジムやリクリエーションスペース、スポーツ施設なども揃っています。
特に図書館の充実度には驚きます。寮ごとに図書館があるだけでなく、大規模な図書館が20以上もあり、どこに行っても勉強するスペースには困りません。14個ある寮もそれぞれが個性的で、食堂や共用スペースなどが充実しているため、生活のほとんどをキャンパス内で完結させることができます。
イェール大学の授業のスタイルについて教えてください
私が受けている授業は文系のものが多いため、少人数制が特徴的です文系のクラスでは10〜15人程度のサイズ感で、教授と学生の距離がとても近いです。一方、理系だと30人から500人までの規模になることが多いです。
専攻は2年の終わりまで決める必要がないので、いろいろな分野の授業を自由に受けられるのも魅力です。特に印象に残っているのはライティングの授業です。このクラスは12人ほどの規模で、ジャーナリストとして活動している教授が教えてくれるのですが、毎週リーディングの課題をこなし、それを基にエッセイを書いてディスカッションを行います。この授業では文章力だけでなく、自分の考えを深める力も養われました。
また、イェールではオフィスアワーが充実していて、教授に気軽に個別相談ができるのも良い点です。教授は時間を取って1対1で話をしてくれるので、エッセイや課題の内容を深く掘り下げる機会がたくさんあります。
学校での1日のスケジュールについて教えてください。
イェール大学での1日は、基本的に午後からスタートすることが多いです。朝には授業をあまり入れず、午後の時間に集中しています。文系の授業は基本的に2時間程度で、通常は午後4時ごろに授業が終わるスケジュールです。
授業が終わった後は、友達と一緒にご飯を食べに行ったり、その後に部活や学生団体のミーティングに参加することもあります。課外活動が終わった後や空いている時間には、課題に取り組むことがほとんどです。
大学外での生活環境はいかがですか?
イェール大学では、1年目の学生は14ある”カレッジ”の寮のうちランダムに配属されます。カレッジごとに独自のアイデンティティがあり、それぞれが学生コミュニティの中心となっています。施設の充実度はカレッジによって異なるものの、基本的にどの寮も快適で、最終的には自分の寮が好きになる学生がほとんどです。基本的に寮はキャンパス内にあり、生活のほとんどをキャンパス内で完結させることができるのはいいですね。
休日には街中のカフェやお店に出かけることもありますが、大学と街との間に分断があるように感じることがあります。とはいえ、キャンパス内の生活環境が整っているため、外部との接触が少なくても困ることはほとんどありません。
イェール大学の課外活動はいかがですか?
イェール大学では、勉強以外にも多くの課外活動に取り組む機会があります。私は雑誌編集や映像制作に関わる活動をしていて、ダンスや演劇の制作にも携わったことがあります。大学全体でアートに触れる機会が豊富で、学生生活の中で創作活動や表現を追求できる環境が整っています。アートに限らず、他にもさまざまな分野の活動に参加できる選択肢が用意されています。
イェール大学で特に印象に残ってるイベントはありますか?
期末試験期間前に行われる「Naked Run」という伝統的なイベントがあるんですが、これは衝撃的でしたね(笑)。期末期間前日の深夜0時ごろに学生たちが図書館を裸で走り抜けるという風習なんですが、ストレス発散のためのイベントなのでしょうか?
またもう一つ、印象に残っているのは、イェールのシンフォニーバンドが無音の映像を背景にBGMを演奏するハロウィンイベントです。これは毎年チケットが即完売する人気イベントなんですが、演奏者も観客も仮装していて、会場全体が特別な雰囲気に包まれる楽しい時間でした。
入学前、準備しておいてよかったこと、または準備しておくべきだったことはありますか?
正直なところ、あまり具体的に準備しておくべきだったことは思いつきませんが、強いて言えば薬の準備です。ニューヘイブンのスーパーはクオリティがあまり良くなく、薬を買いに行ける場所も少ないため、特に体調を崩したときに困ることがありました。実際に1年生の最初に風邪をひいてしまい、日本から風邪薬を多めに持ってくればよかったと感じました。
大学での日本人コミュニティについて教えてください。
日本からの留学生は学年に2〜4人程度、全体でも10〜15人ほどの日本人学生がいる状況です。コミュニティとしては「Japanese American Student Union」が中心的な役割を果たしており、週に一度、メンバー同士でご飯を食べながら交流する機会があります。
最後に、これから留学を志す中高生の方々にメッセージ・アドバイスをお願いします!
留学前は不安も多いと思いますが、一度飛び込んでしまえばなんとかなるものだと一年経って感じています。焦りすぎず、思い切って行動に移してみるのも大切だと思います!